SJAC 9120とは?特徴や認証を取得する方法について解説

はじめに
この記事は、SJAC 9120の認証において、以下のような疑問や不安をお持ちの方向けに作られています。
- SJAC 9120は何なのか、もっと詳しくしりたい!
- ISO 9001とは何がどう違うの?
- 自社に本当に必要なのだろうか?
- 認証を取得するには具体的にどう進めればよいの?
もしこうした疑問をお持ちになることは、決して特別なことではありません。近年、航空宇宙・防衛分野の部品や材料を取り扱う商社や運輸企業を中心に、SJAC 9120の認証が国内で注目を集めています。
顧客や同業者からSJAC 9120の認証に関する話を聞いたので、詳細を知りたい、自社にどのような影響があるのか確認しなければならないという方も多いのではないでしょうか。しかしながら、まだ認証取得企業が少ないため、情報が少なく、「自分たちの会社にも対応できるのか…?」など導入のハードルを感じている方も多いのではないでしょうか?あなたも同じような状況ではありませんか?
そこで、SJAC 9120の認証に関する理解を深めていただけるよう、SJAC 9120とは何か、認証を取得するメリット、要求事項の特徴、認証の制度、認証を取得するまでのステップなどを解説します。
当社代表は現役の9120審査員資格を持ち、実際の審査・運用現場を熟知しています。その経験を活かし、航空宇宙・防衛産業ならではのノウハウを交えながら、重要なポイントをわかりやすくお伝えいたします。
先にまとめると以下となります。
- SJAC 9120は、航空宇宙や防衛分野の部品や材料を取り扱う商社や運輸企業向けの品質マネジメントシステムに関する要求を示した文書です。
- 認証取得企業はまだ少なく、差別化ポイントになるだけでなく、取引条件として求められることも増えています。
- 要求の基本構造はISO 9001に基づいているため、同様の要求が含まれている部分もあります。一方、ISO 9001に業界固有の要求が追加されている部分もあります。追加項目としては、外部供給者に対する情報、識別及びトレーサビリティ、不正品の疑いがある部品の防止などがあります。
- 認証を取得するには、JIS Q 9100と同様に、4つのステップ(ギャップ分析 → 改善計画 → 内部監査/マネジメントレビュー → 認証審査)を踏めば、認証取得は可能です。
- 当社では、現役審査員のノウハウを生かして、認証機関の選定支援から内部監査のアウトソーシングまで幅広くサポートいたします。
今までの品質管理の経験(ISO 9001など)は必ずアドバンテージになります。「SJAC 9120を取って、取引先や社内から『やっぱり御社は頼りになる』と評価されたい」という気持ちを抱いている方は、ぜひ最後までお読みください。
当社の詳細については、「会社概要」でご紹介しておりますので、ご興味があれば併せてご覧ください。
では、ここから詳しく見ていきましょう。
SJAC 9120とは何か?

航空宇宙・防衛分野の商社や運輸企業向け品質マネジメントの規格
SJAC 9120は、航空宇宙や防衛分野の部品や材料を取り扱う商社や運輸企業向けの品質マネジメントシステムに関する要求を示した文書です。
これは、IAQG(国際航空宇宙品質グループ)が策定した9120規格を日本語化したものです。
英語の規格はAS 9120やEN 9120と呼ばれており、すべて同じものです。
IAQGは航空宇宙・防衛企業(ボーイング、エアバス、GE、ロールスロイスなど)で構成されています。
欧米では2003年に要求文書が発行されると同時に認証も開始されましたが、日本では国内のニーズが少なかったため、認証制度がスタートしたのは比較的最近のことです。
9120規格と他の航空宇宙規格
- 9100規格:製造メーカー向け(製造・設計などを行う企業)
- 9110規格:整備・修理・オーバーホール(MRO)を行う企業向け
- 9120規格:商社や運輸企業など、製造ではなく流通や管理業務を担う企業向け
部品や材料を作っている製造メーカーは9100、整備・修理などを行う企業は9110、商社や運送企業などは9120を使います。
自社の事業形態に適した認証を取得できるよう、業種別に規格が分かれているのが航空宇宙・防衛分野の特徴です。
9100規格の詳細については、以下の記事をご確認ください。
SJAC 9120の認証を取得するメリット

競合他社との差別化
日本ではまだSJAC 9120の認証取得企業が少ないのが現状です。SJAC 9120認証を持っている」こと自体が、顧客や取引先への大きなアピールポイントとなり得ます。顧客や取引先からは「この企業は業界標準の品質管理体制を整えている」と見なされ、信頼度が高まります

取引条件のケースも
海外の大手航空宇宙企業や防衛分野では、サプライヤーやパートナーに対して業界規格の認証取得を求める動きが進んでいます。
SJAC 9120の認証を取得していないと取引できない、あるいは競合に劣る状況になりかねないため、ビジネスチャンスを逃さないためにも取得が重要視されています。

リスク低減と企業価値の向上
SJAC 9120はISO 9001をベースにしながら、航空宇宙・防衛業界固有のリスク管理やトレーサビリティ管理が追加されています。
認証取得のプロセスで社内体制を整備することで、不正品やクレームのリスクを軽減し、顧客や投資家からの信頼度向上やブランド価値の向上にもつながります。

企業の管理状況を確認すると、『トレーサビリティの管理が曖昧で、不正品や疑わしい部品を出荷するリスクがある』ことに気づくケースをよく見かけます。SJAC 9120を導入・運用することで、そうしたリスクを事前に洗い出し、対策を講じられる体制が整います。
ISO 9001とSJAC 9120の比較
ISO 9001と同じ要求の部分
要求の基本構造はISO 9001に基づいているため、同様の要求が含まれている部分もあります。
以下はその一例です。
- 品質方針や品質目標
「品質方針」を作り遵守することを求めています。方針を社内で共有し、必要な人がいつでも見られる状態にすることが必要です。 - 力量の管理
教育や訓練で従業員はスキルを身につけ、その証拠を記録することを求めています。また、定期的にスキルを確認し、必要に応じた処置を取ることも含まれています。 - 顧客要求事項の明確化
製品やサービスの顧客要望をはっきりさせ、法律や規制を守りつつ、自社が約束したことを実現できるようにすることを求めています。 - 内部監査
定期的に内部監査を行い、自社のルールや要求通りに仕事ができているかを確認することを求めています。 - 継続的な改善
経営者のレビューを基に改善の必要性を確認し、品質管理システムを常に改善することを求めています。
つまり、すでにISO 9001を導入している企業なら、それらの仕組みをそのまま活用できる利点があります。
ISO 9001に追加された要求
ISO 9001に業界固有の要求が追加されている部分もあります。
以下は代表的な追加項目です。

外部供給者に対する情報
- 取り扱う品目の適合が認証されていることを示す適合証明書、試験報告書、基準適合書に関する要求事項を外部提供者へ伝達することを要求しています。
- 製品の適合は提供元である製造業者もしくは外部提供者に依存しているためです。
- 適合証明書、試験報告書、基準適合書の提出を外部提供者に要求する必要があります。

識別及びトレーサビリティ
- 取扱品は受領から引き渡しまでの全過程で識別やトレーサビリティの維持が必要です。また、引き渡し時には特定の記録が求められます。
- サービス提供の全過程において製品の識別とトレーサビリティを管理することで製品の適合を確実にするためです。
- 取扱品の受領時から分割、保管、包装、保存、引き渡しまで、ロット番号、ラベル、バーコードなどで取扱品の識別及びトレーサビリティを維持することが要求されています。分割された取扱品の引き渡しの際、受領した量との比較、注文書番号、顧客名を記録することも必要です。

不正品の疑いがある部品の防止
- 不正品やその疑いある部品を販売や出荷を防止するプロセスを管理することが要求されています。
- 航空宇宙防衛分野全体で不正品やその疑いある製品の使用を阻止しようとしているためです。
- 不正品やその疑いある製品が市場に出回っている情報を入手したり、検出する訓練や検査を行い、もし発見した場合、隔離して報告するなどが必要となります。
審査の報告書と認証状況の管理
ISO 9001の認証制度にはない、航空宇宙分野特有の審査報告書の発行や認証状況の管理が行われます。
PEAR:プロセスの有効性評価報告書
品質マネジメントシステムにおいて運用されているプロセスの有効性を評価した報告書が発行されます。この報告書には、プロセスの詳細、結果レベル(KPIの内容や目標と実績)、プロセスの実現レベル(計画通りに実施されたかどうかの評価)が記載されます。さらに、結果レベルと実現レベルの組み合わせに基づいて決定されるプロセスの有効性レベルも報告されます。
OASIS:オンライン航空宇宙サプライヤー情報システム
OASISは、認証を取得している企業のリストや認証状況を確認できるオンライン情報システムであり、その管理が行われています。航空宇宙や防衛産業において、サプライヤーやベンダーの選定や監査において、信頼性の高い情報源として活用されています。

業界固有のリスク管理や証拠の残し方がSJAC 9120に要求されています。そのため、「ISO 9001をすでに持っているから簡単に取得できる」と油断していると、追加要求への対応に時間がかかるケースが見受けられます。とはいえ、それらをきちんと整備すれば、「航空宇宙・防衛分野で信頼される企業」として評価される未来が待っているでしょう。
SJAC 9120の認証取得の難易度
JIS Q 9100より要求事項が少ない
SJAC 9120は商社や運輸企業に特化している分、製造メーカー向けのJIS Q 9100より要求事項が少なくなっています。製造に関連するプロセスを大幅に削減できるため、導入・運用の負担が軽減されるのが特徴です。
一方で、流通・在庫管理や輸送に関する要求は厳格に設定されているため、ここをしっかり対応することで「やはり御社は管理が行き届いていますね」と取引先から高く評価されるようになります。
専門家の支援でスムーズに取得可能
日本でも認証取得企業が増加しており、すでに国内で約60社、世界では約3,000社が取得済み(2024年9月現在)です。
「ISO 9001は持っているけれど、SJAC 9120は未知数…」
「初めてのマネジメントシステム認証だけど、やってみる価値はある?」

こうしたケースでも、SJAC 9120の専門家(コンサルタント)や、航空宇宙規格に精通した内部監査支援サービスを活用することで、スムーズに認証取得が進められます。
認証を取得する方法(4つのステップ)
SJAC 9120の認証取得手順は、JIS Q 9100やISO 9001と共通点が多く、以下の4ステップに沿って進めます。
ただし、外部提供者管理や不正品防止プロセスなど、独自の要求事項については丁寧に要件を洗い出し、自社の運用に合わせて落とし込むことが重要です。
ギャップ分析
- SJAC 9120の要求事項と現行の品質管理システムを比較し、不足や改善が必要な点を把握。
- 現場担当者や経営層、外部コンサルタントも交え、どこにリスクがあるかを明確にします。
改善計画
- ギャップを埋めるための運用ルールやプロセス、文書を整備し、チーム体制を構築。
- 外部供給者との契約見直し、トレーサビリティシステムの導入などもここで検討・実施します。
内部監査/マネジメントレビュー
- 新たに構築したシステムが有効に機能しているかをチェックし、不適合や改善余地を把握。
- 経営者も含めたレビューを行い、必要に応じてマニュアルや運用体制をブラッシュアップ。
認証審査
- 最終的に、認証機関による審査を受けます。不適合があれば期限内に是正処置を実施。
- すべての要求事項を満たしたと判断されれば、認証書が発行されます。

SJAC 9120の審査を提供できる認証機関は限られています。早めに候補をリストアップし、費用感や審査日程などを比較検討しましょう。
当社では、認証機関選定のご相談にも対応しております。弊社ホームページのお問い合わせフォームからご相談ください。初回30分の無料相談をご利用いただけます。
よくある質問(Q&A)
次のステージへ – 認証取得以上の価値を生み出すには

SJAC 9120の導入は「お客様からの要求に対応する」だけではなく、自社の競争優位を築く絶好の機会になります。
- 品質管理体制を整えることは、市場からの信頼獲得につながり、結果として新規ビジネスの拡大やブランド価値向上にも寄与します。
- 当社では、審査員としての視点+認証機関責任者としてのマネジメント経験を掛け合わせ、単なる手順や書類づくりだけの「形だけの認証」で終わらない「経営戦略としての品質保証体制づくり」を支援しています。
- 認証を取った“後”の運用こそ本番。継続的改善が回り続ける仕組みを作り込むことで、不具合低減・コスト削減・ブランド向上などのメリットを最大限に活かせます。
当社では、以下のような総合サポートを行っています。
- コンサルティングサービス
- 審査員かつ認証機関責任者としての経験をフルに活かし、最短・最適な認証取得とリスク最小化を支援
- 「現場にフィットした品質マネジメントシステム」の構築で、品質をコアとした競争優位を確立
- 認証取得だけで終わらず、売上向上・リスク低減・ブランド強化の三拍子を狙える包括的な品質経営サポート
- トレーニングサービス
- 「机上の理論」に偏らず、実務レベルで使える内容を重視
- 企業文化を尊重しつつ、現場力を高める人材育成プログラムを提供
- SJAC 9120への理解を深めながら、短期成果と長期的な企業価値向上を両立
- 内部監査サービス
- 現役の審査員が内部監査員としてアウトソーシング対応
- 担当者の作業負荷を大幅軽減し、外部審査での指摘リスクを最小化
- 監査員育成にも注力し、将来的に社内完結できる監査体制を構築
- サプライヤーマネジメントサービス
- 重大リスクを未然に防止し、サプライチェーン全体の品質基盤を強化
- 生産効率や納期も犠牲にせず、サプライヤーが自律的に改善を継続できる仕組みを構築
- 認証機関との連携も含め、一括でサポートし、OEM/Tier1の業務負担を大幅に軽減

戦略的に競争優位を獲得することが重要な時代です。SJAC 9120導入は“コスト”ではなく“投資”と考えて、長期的なリターンを最大化していきましょう。
当社の詳細については、「会社概要」からご覧いただけます。
今なら30分の無料相談を実施中
- 「どこから手をつければいい?」
- 「本当に自社に認証が必要?」
- 「どの程度の費用・期間がかかる?」
こうした疑問を抱えた方に向け、初回30分の無料オンライン相談を行っています。
30分の無料相談で解決できること
- 自社の現状把握と、必要なギャップ分析の進め方
- システム導入の具体的なイメージ
- 認証取得の手順・費用・期間の目安
- 運用定着や内部監査のサポート内容
まとめ
SJAC 9120の理解を深めていただけるよう、SJAC 9120とは何か、認証を取得するメリット、要求事項の特徴、認証の制度、認証を取得するまでのステップなどを解説しました。
- SJAC 9120は、航空宇宙や防衛分野の部品や材料を取り扱う商社や運輸企業向けの品質マネジメントシステムに関する要求を示した文書です。
- 認証取得企業はまだ少なく、差別化ポイントになるだけでなく、取引条件として求められることも増えています。
- 要求の基本構造はISO 9001に基づいているため、同様の要求が含まれている部分もあります。一方、ISO 9001に業界固有の要求が追加されている部分もあります。追加項目としては、外部供給者に対する情報、識別及びトレーサビリティ、不正品の疑いがある部品の防止などがあります。
- 認証を取得するには、JIS Q 9100と同様に、4つのステップ(ギャップ分析 → 改善計画 → 内部監査/マネジメントレビュー → 認証審査)を踏めば、認証取得は可能です。
- 当社では、現役審査員のノウハウを生かして、認証機関の選定支援から内部監査のアウトソーシングまで幅広くサポートいたします。
今後、日本でもSJAC 9120を取得する企業がさらに増える見込みです。「早いうちに基盤を整え、取引先から『やはり御社はしっかり対応されてますね』と評価されたい」とお考えなら、まさに今がチャンスです。
もし「具体的に何から手をつければいいか分からない…」とお感じでしたら、ぜひ当社にご相談ください。
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JIS Q 9100とは?
JIS Q 9100認証を
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