効果的な内部監査員のトレーニングを実施する秘訣

目次

はじめに

この記事は、IATF 16949の内部監査員のトレーニングやJIS Q 9100の内部監査員のトレーニングを実施する中で、以下の関心をお持ちの方に向けて作られています。

  • 内部監査員のトレーニングが必要だと感じるけど、具体的に何をすればいいか分からない…
  • 指導できる人が社内にいないから、誰が研修を担当するべきか迷っている…
  • 教える立場としてしっかり対応できるか、自分自身も不安がある…
  • トレーニングをちゃんとやって、内部監査の質を上げたいけど、やり方がわからない…

もしこうした悩みをお持ちでしたら、それは決して珍しいことではありません。内部監査員の育成は、IATF 16949やJIS Q 9100といったマネジメントシステムにおいて非常に重要ですが、「人を育てる」という仕事は多くの企業で難しさを感じられています。

そこで、この記事では、現役のIATF 16949/JIS Q 9100審査員資格を有する当社代表が、IATF 16949やJIS Q 9100の内部監査員を効果的に育成するためのポイントをわかりやすく解説します。もちろん、ISO 9001の内部監査にも応用可能な内容です。ぜひ、自社の内部監査体制を強化し、監査の質を一段と高めるための参考にしてみてください。

先にまとめると以下となります。

  • まずは、内部監査員のトレーニングに関する責任と権限が付与されていることを確認しましょう。
  • 研修生に対して共感を示し、忍耐強く励まし続けることがトレーニングでは大切です。
  • トレーニング資料は既存文書を活用すれば、一から準備しなくても大丈夫です。
  • スキルの習得では、実績のある監査員の内部監査を真似させてもらいましょう。指導者からのフィードバックを受け取り、次に活かすことで実践的なスキルを身につけることができます。

当社の詳細については、「会社概要」でご紹介しておりますので、ご興味があれば併せてご覧ください。

では、ここから詳しく見ていきましょう。

まずはトレーニングの責任と権限をお持ちか確認してみてください

まずは、ご自身が内部監査員をトレーニングする責任と権限をお持ちかどうか、確認してみてください。
人を育てることは難しいことですが、とてもやりがいのある仕事ですよね。
もし責任と権限が明確でない場合は、トップマネジメントに問い合わせてみましょう。
トップマネジメントは、各自の役割と責任を明確にし、それを伝達することが要求されています。
責任と権限が明確であれば、安心して内部監査員の育成に取り組むことができます。

愛情を持ってトレーニングを進めましょう

内部監査員を育成する際は、研修生に対して共感を示し、忍耐強く励まし続けることが大切です。
私自身、これまで人を育てる中で相手の成長を見守り応援する喜びを感じてきました。
研修の前や終了後には、研修生の悩みや不安をぜひ聞いてあげてください。
そして、進歩や成長した部分を具体的な言葉で伝えることで、彼らのモチベーションを高めることができます。

多くの方が通常業務と兼務になるため、内部監査員になることは大変ですが、その分得られるメリットも大きいです。
例えば、専門知識の習得やキャリアアップの機会などがあります。これらのメリットをトレーニングを開始する前に明確に伝えることで、研修生も前向きに取り組んでくれるでしょう。
一方で、内部監査員を教育・訓練する権限を持っている場合、基準を満たさない人に対しては、たとえ厳しい決断であっても、資格を承認をしない(または資格を取り消す)責任を果たしましょう。

内部監査員の力量基準とその維持に必要なこと

内部監査員として活躍するためには、以下の基準を満たす必要があります。
(IATF 16949の内部監査を参考にしていますが、JIS Q 9100にも同じ考え方が適用できます)

力量基準

  • リスクに基づく考え方を含む、プロセスアプローチによる監査の理解
  • 顧客固有の要求事項の理解
  • IATF 16949(または JIS Q 9100)の要求事項の理解
  • コアツールの要求事項の理解(IATF 16949の場合のみ)
  • 監査の計画、実施、報告、および監査所見の完了方法の理解

力量の維持基準

毎年、内部監査を始める前に以下の点を確認し、満たしていない場合は必要なサポートを行いましょう。

  • 要求事項の変更に関するトレーニングをすべて受講しているか
  • 過去1年以内に監査を1回以上実施しているか

これらの基準をクリアすることで、研修生は質の高い内部監査員として活躍できます。
あなたの接し方がその鍵となります。あなたのサポートが研修生には必要です。

IATF 16949、JIS Q 9100の詳細については、以下の記事をご確認ください。

トレーニング資料は一から準備しなくても大丈夫です

トレーニング資料の準備は、内部監査員の力量基準に従って進めればよく、一から作成しなくても大丈夫です。
既存の文書を活用して、効率的に進めていきましょう。

力量基準の ➊は新たに資料を作成する場合がありますが、❷〜❺ については以下の既存文書を活用してください。

  • プロセスアプローチについての解説文書
  • 顧客から提供されている品質管理要求の文書(一般的に変更管理などの要求が含まれます)
  • 品質マニュアル
  • コアツールに関する管理規定(例:FMEA管理規定など)
  • 内部監査の規定や手順書

研修生がこれらの資料をいつでも閲覧できるように整備することで、彼らの自主的な学習を促進できます。
あなたのサポートが、研修生の成長に大きく貢献します。
内部監査員のトレーニングの第1回目では、これらの資料の所在と、それらの資料を理解する必要があることを伝えてください。

トレーニング資料を基に研修生に自己学習を進めてもらいます。
一定の期間が経過した後、必要な知識を理解しているかを確認するための筆記試験を実施しましょう。
筆記試験は、力量基準の ➊~❺ のそれぞれの内容を研修生が理解していることを評価でき、その評価が第三者にも説明可能なものにしましょう。
評価の結果、理解できていると判断された場合は、次の段階であるスキルの習得に進みます。

実績のある監査員の内部監査を真似させてもらいましょう

スキルの習得の基本は、経験豊富な監査員を指導者にして、そのやり方を真似ることです。
指導者がつくことで、研修生は多くのことを学べます。
内部監査員の基準を満たしており、信頼でき実績を持つ監査員に指導者をお願いしましょう。

観察と分析

まずは、指導者がどのように内部監査を効果的に実施しているかを観察、分析することから始めます。
指導者の内部監査の活動を見学させてもらいましょう。その際、監査を効果的に行う上で気づいたことや重要だと感じた点をメモします。
見学でメモした気づきと以下の各活動における重要ポイントと比較し分析を行うことで、理解を深めていきましょう。

STEP
準備

以下の事前レビューを行う。

  • 審査対象のプロセスで使用されている品質マニュアル、規程、要領、手順書、作成された記録など
  • 外部審査や内部監査報告書での指摘事項
  • 監査チェックリスト
STEP
実施
  • 監査では、マネジメントシステムの評価を行う。
  • 評価とは、適切なサンプリング手段で以下の方法で情報を収集し、検証する。
    • インタビュー
    • 観察
    • 文書化された情報のレビュー
  • 監査基準に基づいて監査証拠を評価し、監査所見(不適合、改善の機会、提言)を作成する。
STEP
報告
  • 監査報告書には、完全で正確、簡潔かつ明確に監査の証拠と記録を記載する。
  • 不適合がある場合は、合意した処置計画を含める。(改善の機会でも処置が必要な企業もあります)
  • 合意した処置計画に対するフォローアップ(処置の完了と有効性の確認)を実施する。

これで、一通りの内部監査の観察と分析が完了しました。

指導者を付けて実際にやってもらう


次は、研修生に実際に内部監査を行ってもらいましょう。その際、指導者を付けて、研修生が行った「準備」「実施」「報告」について、それぞれフィードバックを提供します。

研修生には、受け取ったフィードバックを基に、次にどうすればよいかを自分なりに考えて改善してもらいます。フィードバックを受けることで、実践的なスキルを身につけられます。

この過程で研修生の悩みや不安をぜひ聞いてあげてください。進歩や成長した部分を具体的な言葉で伝えてください。あなたのサポートと励ましが、研修生の自信と成長につながります。一緒に学び成功を喜び合える関係を築いていきましょう。

指導者付きの内部監査は、少なくとも2~3回は実施するのが望ましいです。研修生の習得度合いに応じて、監査の回数をさらに増やしていきます。

十分に習得できたと判断したら、指導者による最終的な立ち合い評価を行い、その評価記録を作成してもらえば完了です。

認証取得後こそがスタートライン

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まとめ

IATF16949やJIS Q 9100の内部監査員の効果的なトレーニングについて解説しました。

  • まずは、内部監査員のトレーニングに関する責任と権限が付与されていることを確認しましょう。
  • 研修生に対して共感を示し、忍耐強く励まし続けることがトレーニングでは大切です。
  • トレーニング資料は既存文書を活用すれば、一から準備しなくても大丈夫です。
  • スキルの習得では、実績のある監査員の内部監査を真似させてもらいましょう。指導者からのフィードバックを受け取り、次に活かすことで実践的なスキルを身につけることができます。

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